宇宙産業創出の最前線 ― JAXA × 民間による革新:J-SPARCの取組と可能性
現在、国際的な宇宙開発競争がかつてないスピードで進行しています。日本でもJAXAと民間企業との共創によって、宇宙を活用した新たな産業創出が始まっています。その代表例が、JAXAが2018年から進めている民間との共同開発プログラム「J-SPARC(ジェイ・スパーク)」です。宇宙といってもピンとこない人も多いと思いますが現実生活で実際Google MapでのGPS、衛星放送、インターネット接続でも既に利用しています。
■ 宇宙ビジネスの民主化へ ― 教育・活用人材の育成
衛星を「作る」から「使う」へ。宇宙産業の約1/3を占める衛星データ活用に着目し、JAXAは電通・慶應義塾大学と連携し、「衛星利用ビジネス検定」を準備中です。英検・TOEICのような感覚で、誰もが宇宙データを活用できる時代に向けて、教育と普及が進められています。
https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/projects/SatelliteDataBusinessAssociation/
■ 技術とエンタメの融合 ― 新しい宇宙活用モデル
- KIBO宇宙放送局(スカパー):これまでJAXAやNASAのみが操作可能だった宇宙ステーションのカメラに、民間放送局から直接コマンドを送れる技術を開発。音声圧縮技術なども進化。
- ソニーの宇宙カメラ衛星:東京大学と連携し、一般の人が宇宙から地球を撮影できるような体験を創出。
- ペールブルー(Pale Blue):JAXAが「はやぶさ」「はやぶさ2」で培った電気推進と軽量タンク技術を活かし、衛星の軌道制御システムを民間と共創。
- インターステラ:JAXAと共にロケットエンジンを共同開発。北海道大樹町での打ち上げを目指す。
■ J-SPARCの概要と成果
- 2018年開始、すでに52件のプロジェクトを実施、200社以上が参加。
- そのうち75%は非宇宙分野からの参入であり、民間の発想力が活かされている。
- JAXAが10億円投資に対し、企業側は数十億円を投資。14件がすでに事業化、15社がJAXA認定ベンチャーに。累計資金調達額は2,300億円超。
- 12件のプロジェクトは「地域振興」や「海外展開支援」と連動しており、地方自治体にとっても参考となる。
■ 宇宙産業を支える国家戦略 ― 宇宙戦略基金
JAXAには新たに1兆円規模の「宇宙戦略基金」が創設され、宇宙開発の中長期的ビジョンが明示されています。
- 2030年代前半を目標に、以下のKPI(成果目標)を設定:
- 月面等へのロケット打上げ30件
- 民間企業による衛星システム構築5件以上
- 宇宙通信・観測等のビジネス事業化30件以上
- 火星圏以遠の探査ミッション10件
- 低軌道利用のビジネス案件10件
■ 袖ケ浦市と宇宙産業の接点
袖ケ浦市は「石油化学工業都市」としての顔を持ちながら、脱炭素社会への転換に直面しています。一方で、羽田空港まで約20分、成田空港へも圏央道経由で約40分、JAXA(つくば)へも2時間以内で到達できる地理的優位性があります。
今後、J-SPARCのような民間共創の宇宙ビジネス誘致や、教育分野での「衛星ビジネス検定」導入、中小企業の異業種参入支援などを通じて、袖ケ浦市も宇宙産業の一翼を担う未来は十分に描けると私は思います。
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