議員勉強会「難病者の社会参加を考える」を終えて
2026年5月18日「第7回 難病者の社会参加を考える議員勉強会」をオンラインにて開催しました。
全国各地の地方議員、関係者の皆様にご参加いただき、難病者の就労・社会参加をテーマに、行政・議会双方の実践事例や今後の制度設計について活発な議論が行われました。「働きたい、社会に貢献したい。けれど、この病気がある自分を受け入れてくれる場所はあるだろうか」日本全国で「深刻な人手不足」が叫ばれる中、ある巨大な才能を抱えた集団が労働市場から見過ごされています。それが、難病を抱える当事者です。社会に根深く残る「難病=働くことが困難」という先入観が、当事者たちの「壁」となり、就労採用の選択肢から漏れてしまっています。この停滞した状況を打ち破る「静かな改革」が、地方自治体から巻き起こっています。以下、その概略です。
◾️水面下に眠る「600万人」の氷山モデル
現在、日本で障害者手帳保持者は約751万人存在し、これまでの就労支援制度は彼らを中心に設計されてきました。しかし、指定難病の受給者証を持つ「水面上」の人々は氷山の一角に過ぎません。その水面下には、制度の狭間に置かれ、適切な支援を受けられない人々が700万人以上存在します。森氏(両育わーるど)はこの現状に対し、

2027年度に予定されている難病者の障害者雇用率算定対象化を見据え、次のようなミッションを掲げています。「知らさないを知る、社会参加を身近に」
この700万人は、決して「助けられるだけの存在」ではありません。適切な合理的配慮さえあれば、労働市場の閉塞感を打ち破る力となる「埋もれた才能」です。
◾️倍率45倍 千葉県・山梨県が証明した「働く意欲」
全国に先駆けて「難病患者枠」という独自枠を設けた山梨県に続き、千葉県が行った採用試験の結果は、3名程度の採用枠に対し応募者は135名。倍率にして45倍。そして千葉県がその応募者の質の高さから、当初の予定を超えて4名を採用。
この「45倍」という数字は、高い能力と就労意欲を持つ難病者が、これほどまでに存在している。と言う証明です。勉強会のやり取りで千葉県庁の動機付けを聞いたところ「県が率先して示すことで、理解や就労の促進につなげたい」との事でした。
◾️「RDワーカー」という新概念:体調に合わせた3つの働き方
主催の研究会は「RDワーカー(Rare Disease Worker)」という概念を提唱。雇用側の不安を解消し、心理的安全を確保するために提案されたのが、以下の3つの変動モデルです。
・ゆるゆる変動モデル:体調が比較的安定しており、フルタイム勤務や標準的な業務が可能な状態。

・そこそこ変動モデル:定期的な通院や体調の波があり、時短勤務などを活用して無理なく継続したい状態。

・せかせか変動モデル:1日の中でも体調変化が激しいが、リモートワークやフレックスタイム制を駆使し、タイミングを見極めて高い集中力を発揮する状態。

特に「せかせか変動モデル」のような、一見雇用が難しいとされる層であっても、デジタルツールの活用や柔軟な時間管理を前提とすれば、企業にとって十分な戦力となります。「難病=雇用困難」というステレオタイプを、この変動モデルの可視化が破壊しようとしています。
◾️東京都も参戦:加速する「当たり前に働ける」仕組み作り
東京都では小池都知事の表明と、駒崎都議による積極的な提言を経て、東京都でも令和8年度から「難病患者枠」の新設が決定しました。焦点は採用のみならず「採用した後の定着支援」に移っています。東京都が導入検討しているのが、長野県で不登校の支援ツールとして活用されている「コミュニケーションシート」。本人の強みや症状、必要な配慮を言語化し、職場での対話を深めるためのツールです。駒崎都議は、採用をゴールとせず「採用枠の新設自体がゴールではない。簡易な業務に固定されることなく、強みを活かして自分らしくキャリアアップできる環境を、東京から日本全国へ広げていく」との事。数合わせだけではなく採用後のキャリア形成までを見据えたこの姿勢こそが障がい者雇用にあるべき姿だと私も思います。
◾️最後に
私は社会人時代、ラグビー部の後輩が突然、難病に侵され奇跡的に回復した過程を知っています。人間誰しも明日何が起こるか分からない。支える側の人間がいつ支えられる側に回るか分からない。どんなん状態になっても損得だけではなく冗長しあえる仕組み、お互いの可能性を十分に引き出せる仕組みが少子化に向かっていく中で必要な条件だと思います。

